ニキビができたあと、くすみ・あかみ・凹みなどのニキビ跡でお悩みの方多いですよね。
その中でも特に治りにくいクレーター(凹み)について解説します。
クレーター状ニキビ跡は近年どんどん新しい治療方法が出ていますので、自分に合った治療を探してみましょう。
クレーター状ニキビ跡とは?治療にも役立つ分類
クレーターは深さや形によって3つに分類できます
自分のクレーターがどれなのか、評価することでどの治療方法が効きやすいのか、が大雑把にわかります!
アイスピック型
凹みの入口が狭く、そのわりに深い
ローリング型
広く浅めで皮膚が波打つようなニキビ跡
ボックスカー型
間口も広く、エッジがしっかりあるニキビ跡。深さは深いものから浅いものまでさまざま
なぜクレーター状になる?発生メカニズム
炎症性ニキビと皮膚構造破壊の関係
クレーターになるリスクはニキビの重症度が関連します。
ニキビの炎症が強く長く続き、真皮と言われる皮膚の深い層まで届き強く組織が破壊されると、皮膚の修復がうまくいかずきれいには治りにくい状態となります。
正常な皮膚の構造
線維化と瘢痕形成
組織の損傷が起こった後、真皮ではコラーゲン繊維や弾性繊維の再構築が始まります。
ところが、ニキビなどで強い炎症が起こった場合、再構築がうまく行きません。 組織損傷の修復はされるため傷はふさがりますが、過剰な線維化が起こり、引きつれや凹みを作ったり、逆に肥厚性瘢痕を残したりします。
クレーター型ニキビ跡になりやすい3つの危険因子
①遺伝や背景
クレーターを作りやすい因子の一つに家族歴が考えられています。また女性より男性の方がクレーターになりやすいようです。ご家族にもニキビ跡が多い方は要注意!
②重症ニキビ
ニキビが重症で真皮層まで炎症が及んだり、炎症が長期にわたることが最も大きな原因と言えるでしょう。ニキビ跡を残さないためにも早めにニキビ治療をすることはとても大切です。
③不適切なケア
ニキビができたあと、潰したり引っ掻いたりしてしまった経験はありませんか?このような不適切な処置をすることで、ニキビ自体の炎症だけでなく細菌感染を引き起こし炎症を広げてしまいます。
また、安易に市販のニキビケアグッズを利用したり、非専門家が紹介する民間療法などを行うと悪化させてしまいニキビ跡を残しやすくなる事がありますので専門家に相談してからにしましょう。
主な治療法と適応の見極め
クレーター状ニキビ跡はとても改善が難しいです。
ですが近年さまざまな治療方法が提案されていますので、これらの治療をうまく組み合わせて少しずつ改善させていきます。
フラクショナルレーザー(エルビウムヤグレーザー)
アグレイティブ(皮膚表面に傷をつける)フラクショナルレーザーは、レーザーにより皮膚に無数の傷をつけ、再構築する過程で正常な皮膚再生を促す施術です。
ターゲット層:真皮浅層~中層
クレーター種類:アイスピック型、ボックスカー型
治療回数:10回~
ダウンタイム:2~7日間程度
ポテンツァ
針で皮膚を傷つけ再構築+RF(ラジオ波)による熱作用+薬液(マックーム)導入の3つの作用を同時に行います。皮膚の修復が早く進み、ダウンタイムが少なく済みます。
ターゲット層:真皮浅層~中層
クレーター種類:アイスピック型、ボックスカー型
治療回数:5回~
ダウンタイム:1~2日程度
トライフィルプロ
機械を用いて注射でガスと薬液(ジュベルック)を注入します。ガスのパワーにより繊維組織を切断するマイクロサブシジョン効果があります。
ガス(薬液が入る空間確保と引きつれの原因となる線維の切断)⇛薬液注入⇛ガス(薬液拡散)の3ステップで頑固なニキビ跡が改善します。
ターゲット層:真皮中層~深層
クレーター種類:ローリング型、ボックスカー型
治療回数:3回~
ダウンタイム:1~2日程度(内出血がある場合は2週間)
キュアジェット
超高圧ジェットにより薬液(レニスナ)を噴射し皮下に届けます。高圧ジェット噴射が線維化組織を切断するマイクロサブシジョン効果があります。
ターゲット層:真皮中層~深層
クレーター種類:アイスピック型、ボックスカー型
治療回数:3回~
ダウンタイム:トーニングモード(優しい設定)2週間
コンタクトモード(より強い設定)約3ヶ月
サブシジョン(瘢痕下皮下切開術)
頑固な線維化は針を用いた物理的な切除が必要になります。線維化が剥離されたあとは再度線維化が起こらないようにヒアルロン酸などでクッションを挟み凹みにくくする工夫をします。
ターゲット層:真皮深層
クレーター種類:ローリング型、ボックスカー型
治療回数:3回~
ダウンタイム:約2週間(内出血)
TCAクロス
トリクロロ酢酸という強力なピーリング剤を部分的に塗布することで部分的に皮膚を変性させます。その後修復過程で凹みを改善させます。
他の治療では改善しない深いアイスピック型クレーターに効果があります。
一方で色素沈着が長く残ったり、肌の状態によっては逆に凹みが目立ってしまったりすることがあるので慎重な判断が必要です。
ターゲット層:真皮深層
クレーター種類:アイスピック型
治療回数:3回~
ダウンタイム:3ヶ月
よくあるご質問
Q.クレーター状ニキビ跡は自力で治す方法はありますか?
A.残念ながらクレーター状ニキビ跡は真皮層まで組織損傷が進み、線維化が強く起こった状態なので、市販の塗り薬や飲み薬などは全く効果がないでしょう。皮膚科で治療するのが改善の一番の近道と言えます。
Q. クレーター状のニキビ跡は完全に治せますか?
A.“完全に”元通りにするのは難しいかもしれません。ですが、凹みが浅くなることで目立たない状態にすることは可能です。実際の症例写真などを載せているクリニックも多くありますので、参考にしてイメージを持っていただくと良いです。
Q. 1回の治療で効果はありますか?
A.1回の治療で改善を実感する方もいらっしゃいますが、劇的な変化は見込めません。どの治療も繰り返し治療することで少しずつ改善していきます。また複数の治療を組み合わせることで高い効果が得られることがあります。
Q. ダウンタイムはどのくらいありますか?
A.治療方法や設定によりダウンタイムは異なります。ポテンツァやトライフィル(内出血以外)は数日、フラクショナルレーザーやキュアジェットのカサカサ感は1週間、サブシジョンなどの内出血が出た場合は2週間程度、TCAクロスやキュアジェットの赤みや色素沈着は数ヶ月、など様々です。カウンセリングでも詳しく説明しますのでご安心ください。
Q. 保険は使えますか?
A. ニキビ跡の治療は見た目を改善する美容の目的となりますので全て自費診療(自由診療)となります。
Q. どの治療が自分に合っているのかわかりません
A.ニキビ跡の種類別におすすめの治療を上記に記載しましたが、多くの方の場合ご自身で判断するのは難しい場合がほとんど。
経験豊富な医師に相談するのがおすすめです。また治療の選択肢は多い方が良いですから様々な治療法ができるクリニックを探すと良いですね!
まとめ|ニキビ跡治療に必要な“正しい知識と継続”
ニキビ跡はどんどん進化しており、最新治療が多く出てきています。
情報をキャッチし、自分に合った治療を見つけましょう!
そしてニキビ跡の治療には根気が大切です。
コツコツ治療を繰り返すことが結局一番の美肌への近道です。一緒に頑張りましょう!!
参考文献
(1)Prevalence and risk factors of acne scars in patients with acne vulgaris.