間違えると悪化する!肝斑とは?他のシミとの違い・治し方

シミ

普通のシミとちょっと違うらしい…「肝斑」って知ってる?
実は知らずに間違ったケアをしていると大変なことに💦

シミを治療したいと思ったら知っておかなきゃやばい!「肝斑」について一緒に勉強しましょう✏️

肝斑とは

 

シミの仲間だけど、ちょっと特別なシミです。
よくあるシミとのちがいを見てみましょう!

見た目の違い

特徴 シミ(日光黒子) 肝斑
境界 はっきりしており線が引ける ややぼやけており、ぼんやりしている
大きさ 小〜大までさまざま 比較的大きく、地図状に広がることが多い
発生部位 顔や手など紫外線を浴びる部位に不規則に出る 頬骨の高い位置や口周り、こめかみなど左右対称に特徴的に出る
対称性 非対称 左右対称が多い
色の変化 日内変動・年内変動なし 短期間で濃くなったり薄くなったり変動する

肝斑好発部位

自分のシミが肝斑なのかな?と思ったらこちら

肝斑セルフチェック

簡単な質問に答えるだけで肝斑かどうかがチェックできます!

原因の違い

日光黒子は、長期間の紫外線曝露によって起こる光老化現象の一つで、紫外線によりメラノサイトが活性化し、過剰に産生されたメラニンが表皮に沈着することで生じます。

一方、肝斑は女性ホルモンの影響、摩擦刺激、紫外線など複数の要因が関与しており、これらの刺激によりメラノサイトが過剰に活性化してメラニン生成が促進されることで発生します。

このように異なるメカニズムで発生するため、治療方法も異なります。

項目 シミ(日光黒子) 肝斑
主な原因 長期間の紫外線による光老化 ホルモンバランスの変化、摩擦刺激、紫外線など
発生の仕組み 紫外線によりメラノサイトが活性化し、過剰なメラニンが表皮に沈着 メラノサイトが過剰に活性化し、メラニン生成が持続的に亢進
治療の基本方針 レーザーや光治療でメラニンを除去 刺激を避け、メラニン生成を抑える・炎症や血管にアプローチする治療

肝斑の病理(顕微鏡レベルで肝斑を観察)


皮膚って実はミルフィーユのように異なる組織が何層も重なり合ってできています。
その層別に肝斑でどのような変化が起きているか見てみましょう。

  • 表皮(浅い層)
    メラニン(茶色い色素)が増加。これが茶色に見える原因。
  • 基底膜(表皮と真皮の間)
    「メラノサイト」というメラニン生産工場がたくさんメラニンを作ってしまう変化が起きている。肝斑のメラノサイトを観察すると真皮側(深い方)に足みたいな突起が伸びている変なメラノサイトが多く観察されます。
  • 真皮(深い層)
    血管が増えている。日光弾性線維症(真皮のコラーゲンなどのお肌のハリを出す組織が破壊されて、代わりに悪い繊維が増えた状態)がみられる。(1)
肝斑は表面のメラニンだけでなく、深-い層の変化が諸悪の根源になっている

おうちでできるケア

実は肝斑はおうちでのケアで改善ができちゃうかもしれないシミなんです!
まずは、半年くらい自分でケアをしてみるのもテです✨️✨️ 

肝斑は刺激を与えるとどんどん元気になってしまうシミです💦
普段紫外線対策やスキンケアで気をつけていない場合、これらを気をつけるだけで劇的に改善するかも?

丁寧な紫外線対策

少しでも外出するときは必ず紫外線対策を万全にしましょう。特に日焼け止めは朝塗っても3時間程度で劣化するので塗り直し必須です。また、飲む日焼け止めなども活用しましょう。

ゴシゴシこすらないスキンケア

日常ゴシゴシしがちなのは洗顔です。絶対に摩擦は起こさないぞ、という強い気持ちでしっかり泡立てそーっと優しく洗います。タオルで拭くときも、抑えるようにして拭きます。
その他、頬杖、顔を触るクセなども気をつけましょう。

化粧品でサポートできること

コスメレベルでもたくさん肝斑に有効な成分があります。美白効果があると立証されている成分を適切な濃度で毎日コツコツ続けることで効果が出ます

肝斑に効く成分(例)
トラネキサム酸、ナイアシンアミド、アゼライン酸、レチノール、コウジ酸、ビタミンC誘導体、グラブリジンなど

病院での治療方法

自宅のケアを3ヶ月くらい頑張っても改善しない、早く直したい、という場合はやはりクリニックでの治療が必要。もちろんそもそも本当に肝斑なのか、ということも医師にきちんとチェックしてもらいましょう!

飲み薬

トラネキサム酸
複数の研究にて効果の実証あり!500mg~1,000mg/日で3~12ヶ月程度が一般的。

ビタミンC(アスコルビン酸)
抗酸化作用を持ちます。作用は補助的ですが、肝斑にもよく使用されており、一定の効果があると報告されています。

ビタミンE(トコフェロール)
ビタミンE単独で用いられた臨床試験はありませんが、トラネキサム酸、ビタミンCと一緒にビタミンE(この3剤の処方が一般的)が処方されており、一定の効果が得られています。

塗り薬

塗り薬はとてもたくさんありますが、中でも良く使用されるものをご紹介します

トラネキサム酸
飲み薬が有効ですが、塗り薬でも効果が実証されています。5%で使用されることが多いです。安全性も高いので他治療と併用に好まれます。

ハイドロキノン・トレチノイン
美白剤の決定版であるハイドロキノンとトレチノイン併用による治療は肝斑はもちろんシミにも効果があります。肝斑においては肝斑治療のゴールドスタンダート言われ数々のエビデンスがあります。ただし肌荒れする方も多く使用には注意が必要です。

クリニックでの治療

以前は肝斑には内服と外用で、というのがスタンダードでしたが、それだととても時間がかかるし、効果がない人もいる、ということで現在では肝斑にも効果がある施術系治療があります!

ニードルRF

とても新しい治療です。
細‐い針の先端からRF(ラジオ波)がでる機械です。肝斑の原因となる基底膜のメラノサイトや真皮の血管など深いところに直接作用して、正常化します。できたメラニンを叩くだけではない、根本治療に近いと言えます。

料金目安
シルファーム
1回あたり:25,000円〜66,000円程度(コース割あるところが多い)

トーニング(Qスイッチ/ピコ)

レーザーはその刺激ゆえに肝斑には禁忌でしたが、トーニングは刺激を抑え、マイルドな設定を繰り返すことで肝斑を刺激することなく治療ができます。悪化させてしまうこともあると言われますが、肝斑の状態を見極めることで高い効果が得られます。

料金目安
レーザートーニング
1回あたり:10,000
円〜33,000円程度(コース割あるところが多い)
ピコトーニング
1回あたり:15,000円〜55,000円程度(コース割あるところが多い)

イオン導入/エレクトロポレーション

肝斑改善に有効な成分を機械を用いて皮膚に流し込みます。痛みや刺激はなく、単独でも高い効果が得れられます。

導入成分の例(エレクトロポレーション)
高濃度ビタミンC(抗酸化作用・メラニン生成抑制)
トラネキサム酸(抗炎症・メラニン生成抑制)
パルミチン酸レチノール(ターンオーバー促進)
アルブチン(HQ誘導体)など。
料金目安
メソナJ(エレクトロポレーション)
1回あたり:22,000円〜33,000円程度
(コース割あるところが多い)
イオン導入
1回あたり:5,000円~15,000円

まとめ

まずは「自分のシミが肝斑なのか」知ることが大切です!

美容皮膚科クリニックではご自身では気づきにくいうすい肝斑なども映し出す「画像診断機器」もあるところが多いです。
自分の肌の状態を詳しくチェックできるので、ぜひ気になる方はカウンセリングに足を運んでみるのがおすすめです✨️

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参考文献

1)Kwon, S. H., Na, J. I., Choi, J. Y., & Park, K. C. (2019).
Melasma: Updates and perspectives. Experimental Dermatology.
https://doi.org/10.1111/exd.13809

2)Mizutani Y, Yamashita M, Hashimoto R, Atsugi T, Ryu A, Hayashi A, Rikimaru-Nishi Y, Ohta K. Three-dimensional structure analysis of melanocytes and keratinocytes in senile lentigo. Microscopy (Oxf). 2021 Mar 24;70(2):224–231. doi:10.1093/jmicro/dfaa054. PMID: 32991711

3)Maeda K, Hatao M. The Therapeutic Use of Antioxidants for Melasma. Journal of Drugs in Dermatology. 2020;19(8):788-792. Available from: https://jddonline.com/articles/the-therapeutic-use-of-antioxidants-for-melasma-S1545961620P0788X

執筆・監修者紹介

執筆者 鷲見侑里子

【執筆】

医師 鷲見 侑里子
藤田医科大学医学部卒業
美容皮膚科医として10年以上の経験。
最新の知見に基づき、美容医療をわかりやすく解説します。

監修者 佐々木良輔

【監修】

院長 佐々木 良輔
日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
あつた皮ふ科・美容皮膚科クリニック理事長。
専門的な視点から内容を監修しています。

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